back
コーザルダイアグラム @/ A/ B/ C/ D/
2007.5 Juggling教本を大幅にリニューアルいたしました。
こちらは旧版になりますので、最新版は以下のページを参照してください。
Juggling 教本

Causal DiagramA

考え方

3ボールカスケードを例にとりましょう。

3ボールカスケードをジャグリングするときどのようなことが起こっているのでしょう。右手と左手の心理状態(?)を観察していくと次のようになるでしょう。

3ボールジャグリングをしているとき、左手と右手に交互に問題が発生していることが分かるでしょう。この問題は決して解決されることはありません。なぜなら3つのボールに対して2つしか手がないからです。仕方がありませんので左手と右手は交互にこの問題を押し付け合っているのです。

上に書いていることは非常に重要なことです。3ボールカスケードは”3つのボールを左手と右手の間で投げあっている”パターンですが、少し見方を変えて”1つの”問題”を左手と右手の間で投げ合っている”パターンという考えることができないでしょうか。

これがコーザルダイアグラムの本質なのです。実はコーザルダイアグラムが表現しているのはボールの動きではなくボールを投げたときに発生する"問題”の動きなのです。これは少しあいまいで抽象的な表現に聞こえるかもしれません(実際これはあいまいで抽象的なものだからです)。例を通してもう少し具体的にコーザルダイアグラムを解説していくことにしましょう。

再び3ボールカスケードのコーザルダイアグラムです。

右手から左手に向かった赤い矢印に注目しましょう。矢印はあるボールを投げた地点から、そのボールによって誘発されて次のボールを投げる地点に向かって伸びます。この矢印の意味するところは次の通りです。

左手でボールを投げた瞬間ここで新しい問題が発生します。このボールを投げることはその1ビート後に右手からボールを投げることを誘発しますからさらに新しい矢印が右手に向かって伸びます。

このように1本の矢印が連続的に右手と左手を交互に移動していきます。1つの問題を解決するために1つのスローが連鎖反応的に次のスローを誘発していくからです。矢印がボールの動きではなく、”問題”の動きを表しているといった意味がなんとなくでも理解できましたか?

さて次に3ボールカスケードだけではなく、4ボールファウンテン5ボールカスケードをコーザルダイアグラムで書き表してみましょう。

4ボールファウンテン

5ボールカスケード

パターンにおける問題の数というのは

で表すことができます。

1人でジャグリングする場合人間の手の数は2つですから、結局ボールの数から2をひいたのが問題の数です。ですから3ボールカスケードでは1つ、4ボールファウンテンは2つ、5ボールカスケードは3つ問題を抱えていることになります。これはコーザルダイアグラムの線の数と対応させることができます。

サイトスワップと矢印の長さ

矢印が何ビート先の点を指すか(つまり投げたボールが何ビート先に問題を発生させるか)はサイトスワップの数字を使って次のように表現することができます。

つまり3の投げかたは矢印が右側に1つ分(3-2=1)進み、4の投げかたは2つ分(4-2=2)、5の投げかたは3つ分(5-2=3)進むということです。右左が交互にボールを投げているようなパターンの場合、偶数なら矢印は同じ手に進み、奇数なら反対の手に進みます。

下に具体的に3、4、5の矢印の例を書いておきましょう。

2、1、0の投げ方

サイトスワップの2、1、0という投げ方(?)は何かと厄介なもので、コーザルダイアグラムにおいてもこの3つはいささか風変わりな様相を呈します。しかし数学的には矛盾なく定義されるものなので、見た目が少し直感と反していたとしても、そういうものだと思って納得してしまって使っていくのがいいでしょう。

2の投げ方

2はボールを投げないで持っているという投げ方(?)です。これは下図のように自分から自分自身に戻ってくる矢印となります。(上に書いた法則に従えば2-2=0となるからです。)言葉で説明すればこういうことです。

”そのボールを投げないで持っているためには、そのボールを投げないで持っていなければならない。”

1の投げ方

これははじめて見た人を少なからず驚かせるものです。法則に従えば1-2=-1となるので、矢印は1ビート前の点を指します。常識的に考えておかしいような気がしますが、実はちゃんと理にかなっています。

矢印は物体の動きを表しているのではなく、”問題”の動きを表していることを思い出しましょう。1は一方の手からもう一方の手にすばやくボールを投げ渡す投げかたです。このボールをキャッチするためにはこのボールが投げられてから反対の手のボールを投げていては遅すぎるのです。つまりこのボールを受け取るためにはこのボールが投げられるより1ビート早く反対の手のボールを投げておかなければならないことになります。これが矢印が1つ前のビートを指している意味です。

0の投げかた

0とはボールをもっていないことです。コーザルダイアグラムの矢印は法則に従い2ビート前の点を指します(0-2=-2)。ますます混乱してきましたか?どうしてボールを持っていないことが2ビート前に問題を引き起こすのでしょうか。

実はこれも次のように解釈すればちゃんと理にかなっています。

ある瞬間にボールを持っていないためには、その2ビート前にボールを投げておかなければならない。

このようにコーザルダイアグラムは時間軸を逆行するような矢印が出てきます。これはコーザルダイアグラムの感覚的な理解を少し難しくしているものなのですが、数学的には理にかなったことなので、それはそういうものとして受け入れてしまうようにしましょう。下に0、1、2のスローを含んださまざまなパターンの例を挙げておきましょう。

例1 3ボールシャワー(51)

例2 2ボールシャワー(31)

例3 330

上の2つはともに2つのボールのパターンです。どちらも矢印が閉じたループになっていることに注目してください。2つのボールでは問題の数は0ですから、本来ジャグリングする必要はないのです。しかしあえてジャグリングをスタートする(無理矢理問題を発生させる)と、結局問題は自分のところに戻ってきます。いかなる瞬間も右方向に向かう矢印と左方向に向かう矢印が1つずつで打ち消しあっていますから、結局線の数は0本であり、先の法則が成立しています。(2-2=0です。)

例4 423

例5 504

例6 50505

0や1といった矢印まで考えると、すべての矢印は連続的につながるか、前の例のように閉じたループになります。何もないところから矢印が発生したり、逆に矢印が突然途切れたりすることはありません。原因があれば必ず結果があるという”因果律”を示しているのだということもできるかもしれません。

next


back