理論と現実には少なからずギャップがあります。どんなに理論的にジャグリングが可能だと主張しても現実問題として到底不可能なパターンなら何の意味もありません。ジャグリングとは本来自由度の高いものですからあまり多く制約はありませんが、多くのジャグリングノーテーションが最低限のルールとして守っている大前提が1つだけあります。それは
余談ですが同じ瞬間に同じ手から2つ以上のボールを投げる事はそれほど難しい事ではありませんし、実際よく行われる事です。いわゆるマルティプレックス(Multiplex)という投げ方です。
ジャグリングを表現するとき“ボールの滞空時間は何秒で手に持っている時間は何秒で・・・”と説明するのはあまり便利な方法とはいえません。一番簡単(かつ本質的)なのは手がボールを投げる(もしくはキャッチする)リズムに注目する事です。
ジャグリングのパターンは音楽と同じように一定のリズムを持っています。上級者のカスケードをよく観察してみると、ボールを手でキャッチする音が一定の間隔を保っていることに気づくでしょう。一般にジャグリングのパターンは安定するばするほど等間隔のリズムを刻むようになるのが自然です。手が交互にボールを投げるパターンではたいてい左手と右手は等間隔でボールを投げています。また一見アンバランスなパターンでもスロー(投げる)、キャッチ(取る)、ポーズ(待っている)という全ての動作のバランスを考えると一定のリズムの中で行われているものなのです。もちろん不均一なリズムでジャグリングをする事も可能ですし、それが悪いと言うわけでもありません。しかしこれはむしろ人間の本能的なものなのでしょう。考えてみれば心臓の鼓動を始め人間の体の動きはほとんどが等間隔のリズムで起こっている事に気づきます。人間の体は等間隔のリズムを心地よく感じるようにできているものなのです。ですからジャグリングにおける時間の流れを一定のリズムに区切る事は自然な成り行きです。
ジャグリングノーテーションにおいて時間はビート(拍)という単位で計測します。3ボールカスケードをしているときボールが手を打つリズムに耳を傾けて見ましょう。「右、左、右、左・・・」と一定の間隔を保って音が聞こえます。これが3ボールカスケードが持っているリズムであり、この一定の間隔を1ビートとするのがジャグリングの単位だというわけです。気をつけて欲しいのはビートというのは絶対的な時間の長さをしめすものではなく,あくまで相対的なものだということです。同じカスケードでもボールをどのくらいの高さで投げてジャグリングするかで1ビートの時間の長さは変わってきます。当然パターンが違えばビートの長さも変わってくるのが普通です。
メトロノームに合わせてジャグリングする事を考えてみたらいいでしょう。自分がカスケードがやりやすいリズムにメトロノームを合わせてみて下さい。もし自分のリズムがよくわからないという方は1分間でカスケードを何回できるか測定してみればいいでしょう。例えば1分間に100回カスケードをする人は♪100というリズムにメトロノームを合わせればいいのです。(1分間もカスケードが続かない人は例えば10秒続けて6倍すればいいでしょう。)それで自分が最もカスケードがやりやすいリズムが見つかるはずです。面白い事にカスケードが安定すればするほど、時計のように正確なリズムでジャグリングする事ができるようになります。
ジャグリングを考える上でもう1つの重要な要素はジャグリングがもっている周期性です。全てのジャグリングパターンは一定の周期で繰り返されるものです。例えばミルズメスといった一見大変複雑なジャグリングパターンも注意深く分析すれば3種類の投げ方を左右交互に繰り返しているに過ぎないのです。その繰り返しに注目する事はジャグリングの簡潔な表現を考える上で絶対に必要な事です。